第七話 タケシの決意
 サトシが何度言い縋っても、タケシの決断が覆る事はなかった。
 物的証拠はないにせよ、状況から見てサトシが犯人だと考えるのが妥当であるからだ。
 たかだか一日程度の付き合いではあるにせよ、本当はタケシもサトシだとは思いたくないと口にしていた。
 ジムリーダーという公式の立場から見逃すわけにもいかないタケシの言い分もわかるのだが、諦めないサトシを見てシゲルが観客席を立った。
 続いてじっとしていられないとルカサも立ち上がったのだが、シゲルと違ったのはバトルフィールドがあるこの部屋の入り口からジロウが覗いているのを見つけたことであった。
「少し待ってくれタケシさん。確かに状況はそろっているが、証拠がない。まずはそれを調べるのが先決だと思います。こちらとしては身の潔白を証明する為にも、一時報告を待ってきちんとして欲しい」
「確かにその通りだが、俺にサトシが勝つことで他の誰が得をすると言うんだ?」
「俺はやってない。だいたいそんなんで勝って何の意味があるって言うんだよ」
「サトシは少し黙っててくれ。嫌疑の掛かった人間が喋っても無駄だ」
「張本人の俺が文句を言わないで」
「ずっと黙ってろとは言ってない」
「おいおいお前ら。お前らが喧嘩してどうするんだ」
 シゲルが間に入った事で余計に状況が混乱し始めてしまった。
 かと言って外部の人間にまで調査をお願いするほどタケシは大事にはしたくない気持ちがあった。
 例えそこでサトシの無実がわかったとしても、その噂はねじれにねじれて他のジムへと伝播していく事だろう。
 やはりサトシを信じたい気持ちを先行させてそう思っていたタケシの前に、ルカサに押されるような形でジロウが歩いてきた。
「ジロウ、お前どうしてこんな所に。ジムは遊びの場じゃない。特にジム戦の間は立ち入りを禁止したはずだぞ?」
「あの……その、僕」
「サトシもシゲルも黙って。タケシさんも、まずはこの子の話を聞いてあげて欲しいの。決して怒らずに」
「怒らずにって、まさか」
 信じられないといった様にタケシがジロウを見ると、後ろめたさを隠すように顔をそらされてしまう。
 だがジロウの後ろに立っていたルカサが、何事かを囁きかけると決心したようにタケシの顔を見上げた。
「僕なんだ。バトルフィールドに水をまいておいたのは」
 次の瞬間、タケシの手の平がジロウの頬を打ち付けていた。
 突然の行動にジロウが言いたい事を伝えるのを手伝おうとしていたルカサもビックリして言葉を失っていた。
「どうして、どうしてそんな事をしたんだ。昨日の様に興味本位からモンスターボールを持ち出したのはまだわかる。誰だってお前の年頃になればポケモンを扱うトレーナーに憧れるもんだ。だが今回お前は決して許されないことをした。イシツブテやイワークたちを苦しめただけでなく、無関係のサトシにまで」
「ごめんなさい……僕、どうしても。サトシさんに勝って欲しかったんだ」
 泣きながらジロウが呟いた言葉に今度はタケシ、そしてサトシが驚く事となった。
 続きを聞き出そうにもしばらくジロウの涙が止まる様子もなく、代わりにルカサが了承を得て喋り出した。
「実はね、昨日のモンスターボールを持ち出した事も今日の事も動機は同じなの。決して興味本位とか、イタズラとか軽い気持ちじゃなかった。タケシさんは本当はブリーダーになりたかったんでしょ?」
「ああ、隠してはいたんだが、少し前にジロウに漏らしてしまった事がある」
「だから自分だってジムリーダーが勤まるんだって証明しようとしてモンスターボールを持ち出したの。今日の事は少し行き過ぎたけど、素人のサトシにタケシさんが負ければ向いてないと思って止めてくれるかもって。ブリーダーを目指す決心をしてくれるんじゃないかって、思ったらしいわ」
「そうか、そうだったのか。すまなかったサトシ、お前を疑ってしまった事を心からわびよう」
 ジロウの思いを知って慰めるよりも先に、タケシはサトシへと真っ直ぐ頭を下げてきた。
 戸惑ったサトシがしどろもどろに謝罪を受け入れてから、タケシはやっとジロウへと振り向いた。
 ポロポロと涙を零すジロウの頭へと手を置くと、ゆっくりと言った。
「ジロウ、俺は兄貴として失格だな。お前を子ども扱いしすぎて、お前がそこまで俺の事を考えていてくれたことに気付きもしなかった」
「兄ちゃんは悪くないよ。僕が馬鹿な事しただけで」
「末っ子が十歳になるまで俺は俺の事を後回しにするつもりでいた。だがお前がそう言うのなら、少しだけ俺は自分の事も考えてみるようにする」
「うん、ありがとう兄ちゃん。俺もその方が嬉しいよ」
 これで全て終わりと思いきや、サトシのジム戦はうやむやになっていた。
 バトルフィールドに水が溜まっているのでは、イワークたちが満足に戦えずまた先延ばしになるのか。
 無理にでも戦えとも言えずサトシが困っていると、シゲルがその肩を叩いた。
「サトシ、任せておけ。ヒトカゲ、火の粉でバトルフィールドを乾かすんだ」
「だったら私も、キャタピー。糸を吐くで水分を吸い上げるのよ」
「カゲッ」
「キァー」
 ヒトカゲがバトルフィールドの上で尻尾の先から火の粉を散らしはじめた。
 続いたルカサも顔を青くしながらキャタピーへと指示を出して、バトルフィールドに糸を吐かせ始めた。
「だったら俺もポッポは、気絶してるから。フシギダネ……何かできるのか?」
「ダネダネ」
 反応は首を横に振られてしまい、さらにルカサから注意されてしまう。
「アンタはこの後ジム戦するんだから、フシギダネに無理させないの。隅っこで休ませてあげなさい」
「なら俺はイワークの様子を見てみることにするか。ジロウ、ジムリーダー見習いとして最初の仕事を言い渡すぞ。シゲルやルカサを手伝うんだ」
「わかったよ、兄ちゃん」
 ヒトカゲの火の粉や、キャタピーの糸、そしてジロウの働きもあって見る見るうちにバトルフィールドは乾かされていった。
 その様子を隅っこで見ていたサトシは落ち着かない様子であったが、言われた通りにフシギダネを休ませていた。
 直接的にダメージを負いはしなかったが、逃げ回るので体力をかなり使ったはずだ。
 丸くなって眠るフシギダネの体をゆっくりと撫でつけ、体にしこりがあればマッサージもしてやる。
 タケシの方もイワークの様子を見て、体の濡れた部分は布でふき取ってやっていた。
 バトルフィールドを乾かす作業を始めて、一時間が経過した頃にはすっかり乾いた地面と岩だらけのバトルフィールドに戻っていた。
「これだけ乾かせば十分だろう。タケシさん、イワークの方はどうですか?」
「ああ、バッチリだ。十分ジム戦には耐えられる」
「ウガァー!」
 応えるようにイワークが大きな咆哮で元気さをアピールしていた。
「それじゃあ私達は観客席に戻るわね。シゲル、ジロウ君行きましょう」
 三人が観客席へと移動するのを見届けると、サトシとタケシどちらともなくバトルフィールドへと足を進めた。
 そしてトレーナーの席へと移動すると、バトルフィールドの中央線を挟んでフシギダネとイワークがにらみ合った。
「予定外の事があったが、一対一の状況からバトル再開だ。それではジム戦再開!」
 高らかにタケシが言うも、サトシはまだイワークの攻略法を見つけてはいなかった。
 何しろ湿った土の上でずっと戦い、さらにつるのムチを受けてさえまだまだ元気一杯なのである。
 途方もない体力と、大きな体を利用した体当たりを持つイワークが無敵にさえ思えていた。
「迷っているようだな。ならばこちらから、体当たりだイワーク」
「かわせ、フシギダネ!」
 真上から落ちてくるイワークをかわさせるが、反撃の方法が思いつかなかった。
 このままではフシギダネの体力が無駄に消費されるだけで負けが確定したようなものである。
 どうすればよいのか迷うフシギダネが、あろう事か迫るイワークを無視してサトシへと振り向いた。
「フシギダネ、上。イワークが」
「ダネダーネ!!」
「背中? タネ、そうか。フシギダネ、出来るだけ近くでかわしてヤドリギの種だ!」
 フシギダネが背中の種を強調した行動を見せたおかげで、サトシの指示が直前で変化した。
 自らに向かって落ちてくるイワークを見据え、可能な限り引き寄せてからフシギダネは動き出し、逃げながら背中の種からヤドリギの種を放出した。
 あれだけ大きな的だけあって、ヤドリギの種は容易くイワークの体に取り付き発芽する。
 見る見るうちに成長していくヤドリギの種は、大岩であるイワークの体でさえまき付き体力を奪おうとさらに成長していった。
「ポケモンに指示されるトレーナーとはな。フシギダネの言った通り、力押しだけが勝負じゃない。時には攻撃を受ける覚悟で、からめ手を使うことも必要だ」
「イワークの動きが鈍った。フシギダネ、つるのムチだ」
「短時間でヤドリギを振り解くのは難しいか。イワーク嫌な音で狙いを外させるんだ」
 ムチを唸らせながら進むフシギダネへと、イワークがその大きな口を開いた。
 つるのムチが唸ると同時にイワークの口から怪音が飛び出し、フシギダネを直撃した。
 不快な音を耳にしてフシギダネが目をつぶってしまい、つるのムチはイワークの顔ではなく体の部分を打ちつけた。
「くそ、やっぱり近づくのは駄目か。どうする一度フシギダネを離れさせ」
「イワーク、地面の上に体をこすり付けるんだ。まずはヤドリギを外すんだ。いくらお前でもヤドリギに絡みつかれたままでは不利だ」
 タケシの不利と言う言葉を聞いて、サトシは指示を決めた。
「こうなったら、フシギダネつるのムチ。ヤドリギがイワークの体を締め付けているうちに勝負を決めるんだ」
「フシャッ!」
 イワークが地面の上で体をくねらせると言う事は、手当たり次第に暴れると同義であった。
 だがあえて危険を犯してサトシはフシギダネを特攻させた。
 二度もヤドリギの種を喰らってくれる相手とは思えなかった為、これが最後のチャンスだと思ったのだ。
 暴れるイワークの尻尾が頭上に落ちてきた所を、かわしフシギダネはつるのムチでイワークを打ち付けた。
「一度や二度じゃ駄目だ。手を休めるなフシギダネ!」
「このままではイワークが危ないか。イワーク最後の力を振り絞ってジャンプ。岩落としだ」
 ヤドリギを振り払うのを諦め、方針転換したままタケシがイワークを跳ねさせた。
 その時に辺りの岩を巻き込み一緒に岩ごと空へと跳んだ。
 イワークだけでなく辺りの岩まで一緒に落ちてくるため、かわすべき敵も多く、さらに逃げ込む場所もなかった。
「フシギダネ、危険だと判断した岩だけつるのムチでどけるんだ。それでイワークに最後の一撃だ」
 言われた通りに危険だと判断した岩だけをつるのムチで叩いていくが、次第に対応しきれず一個二個とフシギダネの周りに岩が落ち始めた。
 やがて完全にフシギダネの姿が岩の中へと隠れてしまい、やがてつるのムチの姿でさえ見失ってしまう。
「フシギダネ!」
 全ての岩が落ちきり、イワークがバトルフィールドに降り立った頃には、サトシの声にフシギダネが反応する事はなかった。
 そしてすぐにイワークまでも、ヤドリギのために苦しげに呻きながらバトルフィールドへと倒れこんでしまう。
「これって勝敗はどうなるの? 引き分け?」
「いや、イワークの方が最後まで立っていた事になるはずだ。善戦したほうだが、サトシの負けだな」
 試合の緊張感からぼそぼそとルカサとシゲルが喋っていると、積みあがった岩たちがぐらりと揺れた。
 そのうち天辺の岩が転げ落ちて、また一つ、また一つと落ちていく。
 明らかにどこからか加わったことによって落ちていく岩を見つめていると、岩山の中からフシギダネがはいずる様に這い出してきた。
 岩山の中から這い出すと、足を滑らせて転げ落ちていくが意識ははっきりとしているようであった。
 自分の足で立ちなおしてから、荒い息でこう呟いた。
「ダネ」
「イワークの残りの体力を見越して、生き残ることだけを考えたか。全く、未熟なトレーナーをフォローする良いポケモンだ。この勝負、サトシの勝利とする」
 その宣言を聞いて数秒の間、サトシは呆然としていた。
 小さな拍手が観客席のシゲルたちから送られ、ようやく実感が湧いたようでボロボロとなったフシギダネへと駆け寄っていく。
「やったな、フシギダネ。俺たちの勝ちだって。ジムリーダーに、タケシに勝ったんだ!」
「ダネダーネ」
 フシギダネが嬉しそうにしていたのは最初だけで、ハッと気がついたようにつるのムチでサトシの頭を叩いていた。
 まだまだ指示が甘いとでも言うように、ダネダネ呟くがサトシにあまり聞いている様子はなかった。
 サトシは叩かれようが何を言われようが、嬉しさのあまりフシギダネを抱きしめていた。
 フシギダネが迷惑そうに暴れても気にもせず、体中で感情を表現する。
「おいおいサトシ、嬉しいのは解るがそれぐらいにしておいてやれ。怪我をしているかもしれないしな」
「あ、そうだった。ごめん、フシギダネ」
「ダネ」
 解放された安堵の溜息をフシギダネがついたのを見てから、サトシは歩み寄ってきたタケシへと振り返った。
 そのタケシの手の中にはジムリーダーに勝利した証であるグレーバッヂが収められていた。
 岩や石タイプを極めたニビジムらしく、石のような灰色のバッヂである。
「本当にいろいろあったが、このグレーバッヂはお前のものだ。おめでとう、サトシ」
「ありがとう、タケシ。ついにグレーバッヂをゲットだぜ!」
 バッヂを手にもって掲げたサトシを観客席から見ていたルカサは、頬に手を当てながら複雑そうにしていた。
 なにもそれはルカサだけではなく、シゲルも似たようなものであった。
 サトシが順調に夢へと向かって確かな一歩を踏み出したのを褒めてあげたい気持ちと、悔しい気持ちが混ざり合うのだ。
「なんていうか、一番ポケモンの知識がないサトシが一番最初に一歩を踏み出しちゃったわね。ちょっと羨ましいかも」
「僕らもがんばらないとね。僕は研究家としてもっとポケモンの事を知らないと、誰よりも詳しく深い知識を」
「私も、もっと的確な治療ができるようにならないと」
 サトシの勝利はグレーバッヂだけでなく、周りで見ていたシゲルやルカサへも将来への自覚を促す効果を持って現れていた。





 その日は再びタケシの家にお世話になることになってしまった。
 すっかりジロウと仲良くなったルカサは、昨日の様に一緒にイワークやフシギダネの治療を。
 ただしイシツブテは連日の怪我のためルカサの手には負えず、ポケモンセンター行きとなった。
 シゲルは子供達のお守り、と言うよりも玩具にされてしまい一人奮闘中である。
「サトシ、昨日の事も含め今日は本当にすまなかったな。同時に世話になった」
「何言ってるんだよ。それにジロウの事はルカサが色々動いてくれたからだろ?」
 二人が食事の片付けてお皿を洗っているところ、不意にタケシがそう切り出してきた。
 もう疑われた事はすっかり水に流していたサトシにとっては今さらの事である。
「ジム戦のあと、少し一人になっていろいろ考えてみたんだ。確かにブリーダーになりたい気持ちもあるが、兄弟たちの事も気になるのも本音だ」
「そもそもブリーダーってどんな職業なんだ?」
「そうだなポケモンと言えばトレーナーが一番一般的だからな。ブリーダーとはポケモンを育てる者のことだ。そう言うとトレーナーと一緒に聞こえるが、ブリーダーは何も戦う為だけとは限らない。そのポケモンが持つ美しさや魅力、能力といったあらゆる意味でポケモンを育てることにある」
「そっか、長年兄貴をしてきたタケシなら良いブリーダーになれそうだな」
 兄弟とポケモンを一緒にするのもどうかという顔をタケシがしていた。
「だったら、俺たちと一緒に来るか? 俺たち色々な場所で色々なポケモンに会うつもりなんだ。もちろんジムも行くけど、タケシにも良い経験になると思うぜ」
「話はありがたいが、それは無理だな。ジムを無人にするわけにもいかない。ジロウが十歳になるには、まだ一年あるしな。だからまずはポケモンリーグ本部に相談してみることにしたよ。まずはジロウが一通り家の事が出来るようになったら、本部からジムリーダーの代理を派遣してもらえるよう頼み込むつもりだ」
「そっか、ちょっと残念だけどタケシがそう決めたならいいさ」
「その話、僕にも少しかませさせてもらえるかな?」
 後ろから話しかけてきたのは、程よくズタボロになったシゲルであった。
 どうやら子供たちから逃げてきたようである。
「実は家の研究所にはたくさんのポケモンが居るんだけど、何時だってブリーダーの数が足りていないらしいんだ。あまり成り手がいないらしくてね」
「家の研究所ってシゲルの家は……」
「ああ、シゲルってオーキド博士の孫なんだよ。でっかいコネが出来たな、タケシ」
「ええ、本当かシゲル!」
 本気で驚いているタケシへとシゲルは頷いた。
「タケシさんのブリーダーとしての腕は、昨日と今日でしっかり見させてもらったしね。良ければ僕からお爺様へ紹介させてもらうよ。ジムリーダーの代理の話もお爺様から話してもらえばすんなり通るはずだ」
「至れり尽くせりの話で正直返事に困るほどだ、頼んでも良いかい」
「なんか妙に話が通り過ぎるというか、少し気持ち悪いぞシゲル」
「誰も見返りを要求しないとは言っていない」
 その言葉には驚いたサトシとシゲルであったが、次の瞬間納得してしまった。
 台所の入り口で壁にもたれているシゲルの後ろから現れた複数の獰猛な瞳を持った子供達が現れた。
 だらだらと冷や汗を流すシゲルの服をしっかりと掴み、逃がすまいと嫌な笑みを浮かべる。
「連れて行っちゃえー!」
「だからこの子達をしばらく僕に、アーッ!」
「シゲルお兄ちゃんもっと遊んで!」
 バタバタと子供達に連れ去られたシゲルが最後まで言葉を言い切る事はなかった。
「ジロウ一人で面倒が見切れるのか、急に不安になってきた」
「大丈夫だって。あんなに兄弟の事を考えて動けるんだ。どうにかなる」
 とても無責任な言葉ではあったが、サトシの言葉が持つ不思議な魔力に負けてタケシもそう思うことにした。
 折角ジロウが投げかけてくれた心遣いである。
 無碍にするわけにもいかず、近いうちに自分も自分のために自分の夢を追う決意をタケシは心のうちに秘めていった。

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