第六話 ジム戦、VSタケシ
 見慣れた街でない場所で見る朝日を前に、サトシは思い切り背伸びをしていた。
 結局昨日はタケシの家に泊めてもらい、サトシが背伸びをしている場所もその庭であった。
 何処までも腕や足が伸びていくような感覚を体中で味わいながら、体の隅々までを起こしに掛かる。
 何時もはもう少しゆっくりと起きるのだが、それには理由があった。
 タケシと約束した通り今日こそジム戦の挑戦を受けてもらうのだ。
「って、ジム戦って具体的にトレーナーとのポケモンバトルとどう違うんだ」
 肝心な点の知識が相変わらずないサトシは、背伸びを中断して顎に手をかける。
 だがいくら考えてもわからない事がわかった時点ですぐに投げ出してしまう。
「やってみればわかるさ。俺に任せておけばどうにかなる」
 本当にどうにかなってしまいそうなほどにサトシが笑っていると、ジムの裏口からジロウが出てくるのが見えた。
 サトシの存在に気付いくと途端にキョロキョロと不審げにあたりを見渡し始める。
「おはよう、ジロウ。イシツブテの体磨き、こんな朝まで掛かったのか?」
「う、うん。大変だったけどルカサお姉ちゃんが手伝ってくれたし。サトシさんとのジム戦は問題なく行えるよ」
「そっか、くぅ。楽しみだぜ!」
 数時間も経たないうちにジム戦は行えるはずなのだが、サトシはいかにも待ちきれないと言った様子であった。
 すっかり自分から意識を外してしまったサトシに頭をさげるとジロウはそのまま家の中へと戻ってしまう。
「お、早起きだなサトシ」
「そう言うタケシは……朝飯の用意? なんだよ、言ってくれれば手伝うのにさ」
 振り向いた先、玄関から軽く顔を覗かせたタケシは余り似合わないエプロン姿であった。
「手伝ってもらえたらありがたいが、あくまでお客様としてお前達を招いた手前な」
「他人行儀だなタケシは。じゃあ俺が勝手に手伝うんなら問題ないだろ」
「ああ、問題ない。と言うわけで兄弟たちを起こしてきてくれないか。人数が増えた分、少しばかり手が離せなくてな」
 結局は手伝って欲しくて声をかけたようで、サトシは笑いながら了解の意を伝えた。
 サトシは早速家に上がりこむと、ほぼ雑魚寝状態であるタケシの兄弟たちを起こしに掛かった。
 その中にはシゲルやルカサもいるのだが、特にシゲルがなつかれたのか子供達にくっつかれた状態で寝苦しそうにしていた。
 野宿よりも辛かったのではないかと思うように、寝起きの顔色も良いとはいえなかった。
「もう朝か。服を引っ張られるわ、のしかかられるわで余り寝た気がしないよ」
「ごめん、私も昨日遅かったから眠い。朝ごはんはいらないって言っておいて」
 一番最後までウジウジしていたのはシゲルとルカサであったが、素直に起きた方が身のためだったことだろう。
 サトシはもちろんの事、寝起きのよい子供達に意地の悪い笑顔が浮かび次の号令で動き出した。
「よおし、お前ら。タケシが朝飯作っている間に軽く腹減らそうぜ。シゲルとルカサにのしかかり攻撃だ!」
 ワーッと子供達の歓声が重なり、次々にシゲルやルカサの上へとのしかかっていく。
 何をしても楽しい年頃なのだから仕方の無いことであるが、されたほうはたまったものではない。
 一気に目を覚まさせられたシゲルとルカサは、悲鳴を上げることしかできずもがき続けていた。
「痛い、こら。人の上に。待ってくれ本当に痛い」
「髪の毛、イタタタッ。踏んでる、踏んでる!」
 子供達ののしかかり攻撃は、タケシがご飯だと呼びにくるまで続いた。
 タケシに呼ばれると嵐が去ったように子供達はいなくなり、ボロボロとなったシゲルとルカサが残されていた。
「サトシ、お前な。子供をけしかけるな。手加減を知らない生き物なんだぞ」
「と言うか、サトシ馴染みすぎ。アンタはここの子か。いつの間にかタケシさんの事呼び捨てだし」
「いやあ、昨日晩飯一緒に作ったら見事に意気投合しちゃって。料理が出来る男が周りにいたことなかったから、少し感動した」
 年上のタケシを呼び捨てるのもどうかと思うのだが、温和そうなタケシの事だからすでに了承済みだろう。
 すっかり乱れてしまった布団の類を簡単に片付けてから、サトシたちも朝食が待っている食卓へと向かいご飯をご馳走になった。
 昨晩もそうだったのだが、大家族の食卓と言うのは戦争の縮図のようなものであった。
 限りあるおかずやご飯をとりあい、奪い負けたものはタケシからこっそり貰ったりと、一人っ子であるサトシたちにはとても新鮮な食卓でもあった。





 朝ごはんの片付けも全て終えると、ようやくタケシは父母兼任の顔からジムリーダーとしての顔つきとなった。
 サトシたちをジムの中にあるバトルフィールドへと案内してくれた。
 ジムの大半の面積を使っているのではないかと言う広さであり、バトルフィールドに沿うようにして観客席まで設けられていた。
 肝心のバトルフィールドは、岩が乱立した一見戦いにくそうなフィールドである。
「ニビジムは岩タイプばかりを集めたジムだ」
「岩タイプばかり……それて不利なんじゃないか?」
 サトシが切り替えした質問に、タケシの動きが一瞬止まる。
 信じられないものでも見るかのようにサトシを見てから、シゲルやルカサへと目線で問いかける。
「サトシはこれでも大マジです」
「その辺も軽く説明お願いします。サトシは超ど級の素人ですから。ジムとは何かと言う辺りも知っているかどうか」
「それはまた天然記念物級に珍しいトレーナーだな。ジムとは基本的に一つのタイプのポケモンを極めた場所だ。さっきも言ったがニビジムなら岩タイプ。隣の街にあるハナダジムは水タイプといった様に」
 ふんふんと頷くサトシを見て、本当に大マジだと驚きながらタケシは続けた。
「これは一つのタイプを極めると言う行為によってジムの質を高める目的がある。何せ挑戦者であるトレーナーは弱点をついてくる事が多くなるからな。まあ、もっともそれはジム側、ポケモンリーグ側の理由の一つだな。肝心なのは挑戦者側にとってどのような意味があるのかだ」
 主催者側の理由には程ほどの興味しか示さなかったサトシであったが、急に肩の力を入れたようになっていた。
「ジム最大の目的は、挑戦者であるトレーナーを鍛えることにある。もちろん素直に弱点タイプをつくことも大切だが、公式大会では六体までしか所持する事は許されない。ジムで素直に弱点ばかりを突いていたものは、有利なポケモンが手元になければどうするだろうか」
「どうって、あきらめるわけにはいかないし。手元にいるポケモンで勝つしかないだろ」
「その通りだ。相性も大切だが、何時も良い相性ばかりの戦いとも限らない。ジムとはそう言った事を学ぶ場でもあるのだ」
「おお、そうだったのか。全然知らなかったぜ、シゲルやルカサは知ってたのか」
 何故か二人ともサトシから視線をそらしていた。
 サトシが首を傾げるが、実はシゲルもルカサもそこまでは知らなかったのだ。
 知っていてジムを通してどのタイプがどのタイプに弱いのか知識を高める場所だとばかり思っていたのだ。
 あえて苦手なタイプで、有利でも不利でもないタイプで戦うことなど頭にはなかった。
「さて説明はコレぐらいでよいだろう。では始めようか、サトシ」
「おう、絶対に勝ってグレーバッチをゲットして見せるぜ」
「サトシ、俺たちは上の観客席にいるからな」
「しっかりやりなさいよ」
 二人が別の入り口から観客席へと上がっていくのを見てから、サトシはバトルフィールドへと近づいていった。
 長方形の両端にはトレーナー用の立ち位置が決められており、そこからバトルフィールドへとモンスターボールを投げ込むのだ。
 対面にタケシが経つのを待ってから、サトシは腰のベルトにおさめてあるモンスターボールに触れた。
「悪いが人手不足だから審判も同時に俺が勤める。使用ポケモンは二体、ポケモンの交代は挑戦者であるサトシのみに許される。他に質問はあるか?」
「いいや、ない」
「ではこれよりニビジムのジム戦を始める。俺の一体目は、イシツブテだ。行け、イシツブテ」
 片手を挙げて宣言したタケシは、まず先に昨日のイシツブテをバトルフィールドへと出した。
 傷を受けたのは昨日に関わらず、傍目には解らないほどに綺麗に磨き上げられていた。
 一度地面へと飛び出してからゆっくりと浮き上がっていき、ボタボタと砂がイシツブテの体から落ちていく。
 地面で付着した砂の量にタケシが眉をひそめるも、すぐにサトシの声が放たれた。
「ならこっちはポッポ、君に決めた!」
「なに、先ほどはああは言ったが苦手なタイプで来るとは……って本当に何をしているんだ?」
 呆れるように見たタケシの視線の先では、未だモンスターボールをぶつけられた事を怒っているポッポがサトシをつつきまわしていた。
「苦手も何も、サトシはフシギダネとポッポしか持ってないからな。しかも二体共にまだ認められているとは言いがたい」
「ああ、他の人から見たら私とキャタピーもあんな感じなのね。早く仲良くなろうっと」
「痛いって、ポッポ。相手が違う。あっち、あのイシツブテが君の相手だ!」
「ポッ?」
 ようやく我に返ったポッポが、ゆっくりを辺りを見渡しバトルするのだと事情を察してくれた。
 最後に大きくサトシを突っつくと、イシツブテの前まで飛んでいく。
 ポッポ以上の鳥頭にさせられたサトシが、痛みを堪えながら叫んだ。
「ポッポ、体当たりだ」
「飛行タイプを出したと思ったら、さらに体当たりか。どうやら秘策があるわけでもなく、本格的に素人なだけか。イシツブテ、まるくなるだ」
 何を思ったのか昨日のジロウのように消極的な手を使い出したタケシ。
 イシツブテは丁寧に磨かれた体にさらに磨きをかけて、まるでビー玉のように滑らかな体を作り上げていく。
 そこへ突っ込んでいったポッポは、空を駆けることで得たスピードのままにイシツブテへと体当たりを仕掛けた。
 鈍い衝突音の後、フラフラと空へと戻っていったポッポと違い、イシツブテはボトンと一度地面に落ちて直ぐに浮き上がる。
 仕掛けたのはポッポであるはずなのに、明らかにダメージを受けたのはポッポの方であった。
「下手に硬い相手に体当たりを仕掛ければ、自分がダメージを食らうこともある。次の挑戦にまで、もう少し知識を増やしておくべきだな」
「まだまだ、直接がダメならポッポ風起こし」
 クルリと旋回したポッポが、やや鈍い動きながらも翼を盛大に羽ばたかせ風を舞い上がらせた。
 巻き起こった風がイシツブテを押し流そうとするが、効いているようには見えなかった。
 少しばかりの強風が吹いているだけといった感じで、イシツブテは次の指示を待っていた。
「終わらせてやれ、イシツブテ。体当たりだ」
「ツブテ!」
 あろう事か吹き荒れる風の中を、イシツブテが正面から突っ切っていった。
 必死になってポッポがさらに強い風を送るも結果は変わらなかった。
 真正面から体当たりを受けてしまい、グラリと傾いて落ちていく。
 その光景を呆然と見ていたサトシへと、ルカサが叫ぶ。
「早く戻して、サトシ。このままじゃ地面に激突するわよ!」
「あ、も。戻れポッポ!」
 言われてハッとしたサトシは、慌てて気絶したポッポをモンスターボールへと戻した。
 無駄な怪我がなかったことにルカサがほっといていると、その隣のシゲルが厳しい視線をバトルフィールドへと送っていた。
 相性以前に、サトシが経験不足過ぎたのだ。
 それは最初から解っていた事なのだが、当の本人が一番その事をわかっていなかったのだ。
 野生ポケモンとのバトルは多少経験しているが、トレーナーとのバトルは正真正銘初めてのこと。
 同じバトルでも人の指示が間に入る事で戦い方はがらりと変わる。
 考えても見れば折角三人で旅をしているのだから身内の中ででもバトルしておくべきだったとシゲルは思った。
「残念だがポッポは戦闘不能。残る一体を出せ、サトシ。負ける事は恥ではない。強くなる為の糧と思えば耐えられる」
「負けると思いながらバトルなんてしてたまるか。何時だって勝つつもりでバトルしなきゃ、絶対に楽しくなんかない」
「気持ちだけは一人前のトレーナーだな」
「フシギダネ、君に決めた!」
 最後のモンスターボールをバトルフィールドへと投げ込むと、フシギダネが勢い良く飛び出した。
 事情は先刻承知とばかりに、油断なくイシツブテを睨みつける。
「草タイプのポケモンか。恐らくは偶然だろうが、悪くない選択だ。守っていては負けてしまうな。イシツブテ、体当たりだ」
「フシギダネ、つるのムチで先制攻撃だ。叩いて叩いて、叩きまくれ!」
 ポッポが倒された事で動揺が出ていたはずなのに、妙に強気な言葉がサトシの口から放たれた。
 それは何時だって勝つつもりだと言う自分自身の言葉に奮起された事もあるが、その言葉を放たせたのはタケシであった。
 短い時間でサトシの性格を把握し、奮起させる事で十分な経験を積ませようということだ。
 それはタケシが優秀なジムリーダーだからこそ、なせる業でもあった。
「フシァ!」
「かわせ、イシツブテ」
 一度は丸くなるを使ってはいても、草タイプの攻撃には大きなダメージを負ってしまうとタケシの指示が飛んだ。
 唸るつるのムチを避けながらフシギダネに近づいていくイシツブテ。
 だが何度目かのつるのムチが地面を叩いたときに地面の泥が跳ねて、一瞬イシツブテが目をつぶってしまう。
 偶然の幸運を見逃すわけにはいかないと、フシギダネのつるのムチがイシツブテの顔を強かに打ちつけた。
 効果は抜群であり、吹き飛ばされたイシツブテはゴロゴロと地面の上を転がっていく。
「やったぜ、フシギダネ」
「ダネ」
 なんとか起き上がろうとするイシツブテの泥のついた体を見て、やはり何かがおかしいとタケシは細い目をさらに細めさせていた。
 最初から違和感は感じていたのだ。
 イシツブテを出した時の妙な反応、乾いたバトルフィールドで跳ねた泥と、苦手タイプとは言えダメージを受けたイシツブテの弱りよう。
「戻れイシツブテ。良くやったと褒めてやりたいところだが、一つ試させてもらう。出て来いイワーク!」
「試す?」
 タケシの二体目のポケモンであるイワークがバトルフィールドへと飛び出した。
 屋外で見ても大きかったが、屋内で見るとイワークの頭の上がすぐに天井とさらに大きさが強調されていた。
 昨日はゼニガメを入れてさえ五分以下の戦いであった為、さすがのフシギダネも後ろ足を僅かに引いていた。
 一方タケシは何事もないようにしているイワークを見て、気のせいだったかと思い直し始めていた。
「気のせいだったのか。イワーク、体当たりだ」
「フシギダネ、こっちはつるのム……やっぱりかわせ!」
 途中での指示の変更にも関わらず、イワークの体当たりを前にフシギダネは迷うことなく逃げ出していた。
 最初から無理だと思っていたようで、躊躇はみられなかった。
「どう考えても大きすぎる。どうやって勝てばいいんだ。下手に近づけばフシギダネが潰されちゃうぜ」
「ダネダネ」
 つるのムチでさえ大したダメージがないのは実証済みである。
 どうすればよいのかサトシとフシギダネが迷っても、タケシとイワークは待ってはくれない。
 動きの止まったフシギダネへと迫っていく。
「もう一度体当たりだ、イワーク。体当たりの直後のつるのムチには気をつけろ」
「そうか、体当たりをかわして逃げる途中で。フシギダネ」
「ダネダネ!」
 上から落下してくるようなイワークの体当たりを目の前にして、無理無理と首を振りながらフシギダネは逃げ出していた。
 一応は反撃も考えてつるのムチを中途半端に出しては見たものの、十分な距離を取ってからでは遠すぎるらしい。
 ぎりぎりでかわせという指示もあるにはあるのだが、イワークの地面に叩きつけるような体当たりを前にしてサトシは思いつけないらしい。
 あとはフシギダネが逃げ疲れた所で終了かと、何もなかったことにタケシが安堵の息を吐いていた。
 サトシを疑いたくはなかったと言う気持ちがあったのだが、次第に疑惑が再浮上し始める光景が目の前に現れた。
 優勢に攻撃を仕掛けていたイワークの方が徐々に疲れ始めていたのだ。
「イワーク、まさか?」
「ここだ、フシギダネ。一気に近づいてつるのムチ」
 明らかに疲労したイワークを前にサトシがフシギダネを走らせた。
 つるのムチが届く距離まで駆け、ムチを伸ばす。
 当然かわす素振りを見せたイワークであったが、交わしきれずに顔の横っ面を叩かれてしまう。
 大きくぐらついて倒れこんでいくイワークを見て、タケシだけでなくサトシや観客席で見ていたシゲルとルカサも動きを止めていた。
「なんで、昨日はあわも同時に受けて平気だったのに」
「一体何が。バトルフィールド? 変化がゆっくりすぎてわからなかったけど、地面の色が変わってないか?」
 シゲルの指摘により、皆の視線がバトルフィールドへと集中した。
 イワークの安否を気遣いながらバトルフィールドへと足を踏み入れたタケシは、地面の土をすくって手に取った。
 最初は乾いていたはずなのに、今ではすっかり湿っていた。
 恐らくはあらかじめ十分に水を含ませておき、その上でイワークが暴れたおかげで水分が浮き上がってきたのだろう。
 誰が水をまいておいたかなど考えるまでもなく、残念そうにタケシはサトシへと言葉を突きつけた。
「本当に残念だ、サトシ。お前は失格だ。今回のバトル結果もポケモンリーグ本部へと知らせさせてもらう。さすがにトレーナーとして除名される事はないだろうが、今年のポケモンリーグはあきらめる事だ」
「ちょっと待ってくれよ、タケシ。何でいきなりそうなるんだよ!」
「ダネ!」
「白々しいな。このバトルフィールドを見れば解るだろう。すっかり濡れてしまっている。イシツブテもイワークも水が苦手だ。そして水があればフシギダネは有利になる。誰が水をまいたかは、言うまでもないな?」
 確かに踏み入ったバトルフィールドには、足跡が生まれるほど湿りやわらかくなっていた。
 だが身に覚えのない疑いを向けられるのは、サトシとしても我慢がならなかった。
「ちゃんと誰がやったか調べてから言ってくれよ。勝手に言い渡されて納得できるわけないだろう」
「俺も信じたくはないさ。だが、他に誰が得をする。時間をかけて自分を省みる事だ、サトシ。お前ならいずれ良いトレーナーになれるさ」
 頑としてタケシの意見は変わらず、早くもサトシのポケモンリーグへの道は閉ざされようとしていた。

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