第十六話 トーナメント


「つ、疲れたぁ……」

「だらしないなぁルイセちゃんは。たかが開会式ぐらいでなに言ってるのよ」

「だってぇ、開会式が終わると同時に周りの人が一斉にコロシアムを出だしたんだもん」

開会式を終えてから、カーマインとルイセはウォレスが陣取ったコロシアムの観客席へと着ていた。
カーマイン達は闘技大会の開催前日に申し込んだ為に、トーナメントの試合開始が一番最後なのだ。
基本的にはAグループとBグループに別けられており、それぞれ勝ち抜き形式で試合を行う。
そしてAグループの勝者とBグループの勝者で決勝を行い、優勝者を決めるのだ。

「誰だって対戦相手には少しでも自分の手の内を隠したいからな。ただそこに居るだけでも情報ってのは漏れるもんだ。だから誰よりも早く出たかったんだろう。そんな事より、問題はこのトーナメント表だ」

ウォレスが見せたのは、関係者から何処ででも誰でももらえる闘技大会のトーナメント表だ。

「僕らの試合開始は一番最後ですよね?」

「つまり、殆どの者は一回戦を終え、それだけじっくり試合を見られちまう。それだけじゃねえ、主催者側の配慮だろうが、噂のゼノスとニックがAグループとBグループにきっちり別けられてやがる」

「なんかマズイの? それって?」

「優勝するには優勝候補であるゼノスさんとニックさんの両方を倒さなきゃいけない。できれば同グループで潰しあって欲しかったけど」

「だから言っただろう。タダでさえ今年のフレッシュマンは参加者が減ってるんだ。そのうえ優勝候補が潰しあえば盛り上がらない。主催者側の配慮だ」

余計な配慮に顔をしかめながらカーマインはトーナメント表を覗き込んだ。
自分たちはBグループであり、ニックと当たるのは準決勝である三戦目。
つまりフレッシュマンの部は総勢十六チームの参加となる。
さすがに大陸全土から募集したにしては少なく、毎年ならば参加者を絞るためのテストやバトルロイヤル形式で人数を減らすそうだ。
確かに優勝候補が二人もいて困難な道ではあるが、その点は幸運であった。

「勝つのは四つか……」

「あ、ゼノスさんだ。カーマインお兄ちゃん、初戦が始まるみたいだよ」

カーマインがゼノスの戦いを見るのはこれが始めてであった。
相棒は知り合いらしき僧兵で、対戦相手はムチの使い手である女性と、男の魔法使いであった。
試合開始と共に、女性がムチをしならせながら走り出した。
おそらく女性が安全な距離を保ちつつムチでゼノスたちを足止めし、男の魔法で止めを刺すつもりであろう。
女性の腕が振るわれたと思った瞬間、ムチの先があまりのも早く動いたため、カーマインには消え失せたように見えた。
だが、次の瞬間、女性の手の中からムチどころか、ムチの柄さえ消え失せていた。

「はっ、そんなへっぴり腰のムチが効くかってんだ」

勝ち誇るゼノスの振り下ろした剣の真下、地面にめり込んだ所に女性のムチがあった。
ゼノスがムチを剣で迎撃して叩き落としたのだ。

「ゼノスさん、勝ち誇るにはまだ早いですよ。我が魔力よ、彼の者の魔力を押さえ込め。サイレンス!」

相棒の僧兵が魔法を唱えると、それまで詠唱を続けていた魔法使いが突然パニックを起したかのように口を何度も開いたり閉じたりし始めた。

「無駄です。貴方の魔法は防がせていただきました。それにしても未熟ですね。本来なら余程の力量の差が無い限り、決まらない魔法なのですが」

「でだ、まだやるかい? 諦めないってんなら、容赦はしないぜ?」

相手から負けましたと呟かれるのに、時間は掛からなかった。

「勝者、ゼノスチーム。さすが大会前からの噂にたがわぬ強さです。試合開始にして十分も立たずに相手を負かしてしまいました!」

「当然だぜ!」

「ですね」

勝って当たり前という自信ありふれる言葉に、コロシアムが沸いた。
普通ならそういった過剰な自信は他のものをささくれ立たせるものだが、ゼノスのそれはトゲが一切無いのだ。
負けてしまった対戦相手でさえ、次こそはという意味をこめてゼノスに握手を求めていた。

「さすがに、強いな。本来なら剣でムチを叩き落とすなどパフォーマンス以外の何ものでもないが、実際にやった奴は初めてみる」

「うっわ〜、強すぎ。あんた達、勝てるの?」

ティピの言葉にカーマインは即答など出来なかった。
レベルが違うと、この一試合で見せ付けられてしまっていた。

「カーマインお兄ちゃん」

「おい、言っておくがお前の相手はゼノスじゃないぞ。前ばっかり見てると足元をすくわれるぞ」

「あ、はい……」

慌ててした返事も、少しかすれていた。

「それにこれは一対一の勝負じゃない。二対二の勝負だ。お前一人では無理かもしれんが、ルイセがいればわからんぞ」

「そうそう、なんたってルイセちゃんはグローシ」

「馬鹿野朗、軽々しくこんな所で言うな。下手に警戒されたら厄介だろうが」

「あ、ごめんなさい」

怒られてはじめてキョロキョロと辺りを見渡しだす。
だが誰もが先ほどのゼノスの試合に酔いしれ、始まった次の試合に集中し始めていて、聞かれてはいなかったようだ。

「とにかく、勝負はやって見なければわからない。萎縮せず、全力でぶつかってみろ。でなきゃ、負けるだけだ」





カーマインたちの試合が近くなると、どうして解ったのか係員が呼びにきた。
未だゼノスに見せ付けられた強さでカーマインは萎縮しており、ウォレスの先ほどの言葉が無駄に終わりかけていた。

「それじゃあ、君たちの出番だ。なに負けたからって命をとられるわけじゃない。がんばってな」

係員にまで慰め半分に送り出されてしまった。
ゼノスの時よりはやや小さめの歓声を受けて、カーマインとルイセはコロシアムの試合場へと入っていった。
その向かい、反対の入り口からは二人の対戦相手が入ってきた。
一人はバンダナをして腰に短刀をさしており、もう一人はスリングと呼ばれるパチンコに似た武器を持っていた。
だが一番目をひいたのは、二人の男がカーマインたちをみてニヤニヤ笑っていた事だ。

「おい、この勘違いカップル本当に出てきちまったぜ」

「知ってるか? お前たちもあのゼノスやニックと同じぐらい有名だぜ。お手て繋いで開会式に臨んだ選手だってな」

それはまるでコロシアム中に、わざと聞かせるような声であった。
作戦ですらなく、単に笑いものにする為だけなのは明らかであった。

「か、カーマインお兄ちゃん」

「大丈夫、僕はいつも通りルイセを守るだけだ」

カーマインにすがる様にルイセが身を隠したのは逆効果であった。

「お兄ちゃん? は、こいつはお笑いだぜ。お兄ちゃんだとよ」

「なるほど、そいつは納得だ。お手て繋ごうって言い出したのは可愛い妹ちゃんかい? それともお兄ちゃんかい?」

「し、試合開始!」

これ以上この言葉の暴力はまずいと判断したのか、審判が自己判断で試合を開始してしまう。
カーマインがブロードソードを抜き、ルイセがウィザードロッドを構えるが、相手の男たちはまだ構える様子もなかった。
まだ続ける腹積りらしい。

「せいぜい、妹にカッコイイ所見せるんだな。お兄ちゃんよぉ」

「ま、それは出来ねぇだろうがな。情けない姿を見せる前に、僕ちん敵いませんって言ったら」

さすがにこのまま斬りかかる前に、カーマインが言い返そうとしたが、出来なかった。
背中に感じたのは、魔力の知覚能力が乏しいカーマインでも解るほどの荒れ狂う魔力の渦があった。
よくよく見てみれば相手の男たちも半分言葉を失っていた。
ざわめくコロシアムの声に促されてカーマインがそっと振り向いた。

「絶対に許さないんだから。馬鹿にして、カーマインお兄ちゃんを馬鹿にして……」

まるで小さな太陽がそこにあった。
ルイセのウィザードロッドから生まれた炎が、ルイセの真上へと巨大な炎の球体を生成していたのだ。

「ちょ、ちょっと待った。うん、俺らもちょっと言いすぎたよな?」

「う、うん。やっぱり悪口はいけねえよな」

「許さないんだからッ!」

冷や汗を流しながら二人の男が必死に言い訳をしたが、遅かった。
ルイセが叫んだのと同時に、巨大な火球が投げつけられた。
唸りを上げた火球がコロシアム内の空気を灼熱に変えながら二人の男たちへと突き進む。
着弾、後爆発。
本日一番コロシアムを揺るがせた激震が起こり、二人の男は一瞬のうちにその意識を刈り取られた。

「こ……これはすごい。このような大威力のファイヤーボールなど、私見た事がありません。もしや彼女はグローシアンでは」

唖然とするコロシアム内で、実況を語るアナウンサーが喉をからして叫んだ。
その間もルイセは怒りが収まらないのか、珍しく息を切らせながらも倒れている男たちを睨みつけていた。

「勝者、カーマインチーム!」

審判の宣言の後、なんともまばらな拍手と歓声が起こった。
誰もが驚いて声を失っているのだ。
全くの無名の、しかも最年少チームにグローシアンの女の子がいた事に。
ちなみに、カーマインは何もしていない。

「あ〜あ、思いっきりバレちゃたわね」

「まあ、これぐらい派手なバレ方ならば相手の優位に立つことはできるだろうな」

「アレを見て本当にそう思うのウォレスさん」

ティピが指差したのは、正気に戻った後、自分の行いに驚いてカーマインに泣きついているルイセであった。





試合後に見せたルイセの泣き面はともかくとして、巨大ファイヤーボールはかなり相手チームに効果があった。
カーマインたちの二回戦の相手は、バーンシュタイン兵の弓使いと鎖鉄球の使い手であった。
二人ともルイセの力を警戒してか、まずはカーマインを倒そうと試みたのだが、視線は常にルイセにあった。
例え二人同時に相手にしても相手がそんな状態では負ける方が難しく、二回戦は逆にルイセが何もしないままに終わった。
そして段々と試合の間隔が短くなる中、三回戦目が訪れた。

「ウォレスさん、結構いいんじゃないの? アイツもルイセちゃんも完全に固さがとれたし」

「そいつはどうかな。次の相手はあのニックだ。二回戦の相手のように、ルイセの力に気おされる事は無いはずだ。むしろ、対抗手段を練られているかもな」

「もう慎重なんだから、ウォレスさんは」

安心してみていればいいのにとティピがコロシアムの試合場へ視線をよこすと、丁度カーマインたちの入場であった。

「さあてフレッシュマン部門もついに準決勝、青コーナーはこれはもうグローシアンで間違いない。ローランディア出身、可愛らしくも激しい小さな太陽、ルイセ選手とそんな太陽を見守る優しきお兄ちゃん、カーマイン選手だ!」

「なんか僕は普通に近所のお兄ちゃん的紹介なんですけど」

ポツリと呟いたカーマインの台詞は当然の如く、コロシアムの歓声に呑み込まれた。

「そして赤コーナーはメディス村出身、今年のフレッシュマンの部の優勝候補の一角、ニック選手とシール選手の戦士コンビだ! ローランディアの兄妹がどこまで二人に対抗できるか、見ものです」

アナウンスでの紹介の後、審判が中央に歩み寄った。
その手が上がり、振り下ろされれば試合開始である。
そんな緊張の一瞬を前に、カーマインはニックとシールが自分を見ている事に気付いた。
対戦相手なのだから当たり前なのだが、それは一回戦の相手のように馬鹿にしたものではなかった。
単に、勝利を確信した笑みであったからだ。

「確かに君たち兄妹は恐ろしい力を秘めている。その歳でそれだけの力を持っているものはそうはいないだろう」

シールがニヤリと笑うと、審判の腕が振り下ろされた。

「試合開始!」

開始直後、ニックが得意の剛剣を持って真っ直ぐカーマインへと突進してきた。
一度その剛剣が振り上げられれば、止める術は無い。
カーマインが身をかわした真横に、剛健が振り下ろされた。
剣に押しつぶされた地面が陥没し、衝撃に土くれが舞い上がる。

「くっ……こんなの、まともに受けたら」

「そう、俺は君を抑えるだけでいい。君たちは確かに強いが、それは二人揃った時だ。個々に戦えばそれほど怖い相手ではない」

「まさか?!」

「カーマイン、すぐにルイセの下に戻れ!」

カーマインの驚きだけでなく、観客席からも歓声に混じってウォレスの声も聞こえた。
まさか二対二の状況から、あえて一対一に持ち込むなど考えもしなかったのだ。
すぐにルイセの悲鳴が聞こえた。

「ルイセ!」

「なんかちょっと悪役っぽい戦い方だけど、これも戦術さ。我慢してくれ!」

とっさにルイセの悲鳴に振り向いてしまったカーマインの肩後ろが、振り上げられたニックの剛剣によって切り裂かれた。
鮮血が飛び散り、再度ルイセの悲鳴が聞こえた。
倒れそうになる視界の中でカーマインが見たルイセは、まだシールが番えた弓を前に怯えていただけであった。
まだ大丈夫だと倒れそうになりながらもカーマインは右足を前にだして、倒れ掛かった体を支え、耐えた。

「まだ、ルイセから離れろ!」

再度大地を蹴り、カーマインが走った。

「馬鹿な、倒れそうな状態から加速しただと?! シール!」

ニックの声に振り向いたシールは今にも斬りかからんとしていたカーマインから逃れた。
その際に番えていた弓から放たれた矢が、とんちんかんな方向へと飛んでいった。

「カーマインお兄ちゃん、血が……我が魔力よ、癒しの力となれキュア!」

「ありがとうルイセ、それとごめん。次はうまくやるよ。もう怖い思いはさせない」

「私こそ、簡単に悲鳴なんてあげて……カーマインお兄ちゃんの邪魔しちゃった」

ルイセがカーマインの傷を癒している間、ニックとシールは何もせず見ていた。

「まさかあの状態から君に向かうとは思わなかったよ。俺のミスだ」

「なに、状況は変わらない。個々でぶつかり合う限り、僕らの勝ちは揺るがない。さあ、サービスタイムは終りだ」

「カーマインお兄ちゃん、どうしよう」

「なにか手を……なんでもいい。一対一にならなくても済む方法を」

「行くぞ!」

考える暇まではカーマインとルイセに与えられはしなかった。
結局カーマインに選択できたのは、ルイセの傍を離れずに戦うという消極的な手だけであった。
だがやはりその場しのぎの手がニックとシールに通用するはずもなかった。
カーマインが反撃しようとすればニックは引き、追いかけようとすればシールが弓でルイセを狙う。
ルイセを守ろうとすればニックが攻めてくるとヒットアンドアウェーを繰り返された。
決定打は出ないかもしれないが、確実にカーマインの体力が減らす事の出来る堅実な手であった。

「このままじゃ、僕の体力が……なにか。グロウ、君なら」

今は居ない兄弟にすがった一瞬、カーマインに隙ができた。
ニックがそれを見逃すはずもなく、剛剣を振り上げるが、別の叫び声がそれを止めた。

「ニック、弓の射線上に入るな!」

シールの叱咤であった。
おかげでニックの動きが止まり、その剛剣が振り下ろされる事は無かった。

「折角のチャンスが、だがこの状況で三対一になるのはぞっとしないな。今のは俺が悪かったが、後ろから撃つのだけは勘弁してくれよ」

「ああ、俺も気をつけるさ。だがお前も気をつけてくれよ」

揺るがない勝利を前に出た軽口であろう。
だが、そんな軽口でさえ、時には光明になりうるときもあった。

「三対一……そうか。一対一にしたくなきゃ、三対一になればいいんだ!」

「カーマインお兄ちゃん? 何を言ってるの?」

「おいおい、何を言い出すかと思えば、大丈夫か? 一対一でも勝てないなら、俺達のどちらかを裏切らせるとでも言うのか?」

「ニック、俺を裏切るつもりなんてあるのかい?」

「そうだな。俺のアイリーンに手でも出したってんなら、喜んで裏切ってやるがな」

本気で大丈夫かコイツという視線を受けていたカーマインだが、言い聞かせるようにルイセに向かって叫んだ。

「ルイセ、トルネードだ。試合場全部を吹き飛ばすつもりで、トルネードを使うんだ!」

「でも、そんな事したらカーマインお兄ちゃんまで!」

「これはあくまで二対二の試合なんだよ。だからルイセが一人残れば、三人とも吹き飛ばせば僕らの勝ちなんだ」

さすがにその言葉にはニックもシールも青ざめた。
ただの肉を切らせて骨を絶つ行為ではない、肉を切らせるのは見方であり、自分ごと敵の骨を断つのだ。
それにルイセの魔力の強さは一回戦で証明済みであり、実行可能であることは言うまでも無い。
ルイセにそれを実行する勇気があるとするならばだ。

「そんなの出来ないよ。カーマインお兄ちゃんを攻撃するなんて、出来ないよぉ」

「シール、長期戦は止めだ。お嬢ちゃんの気が変わらないうちに決めるぞ!」

「本当にイカレてるぜ。たまにいるんだよな、お前みたいな奴がよぉ!」

剛剣と瞬矢の同時攻撃を体を使って防ぐようにして受けながら、叫ぶ。

「ルイセ!」

「だって……出来ないもん。出来るはずがないよ」

「これしか方法が無いんだよ。グロウのためだ。僕らはグロウの為に勝たなきゃいけないんだよ!」

「グロウお兄ちゃんの為、グロウお兄ちゃんの…………我が魔力よ」

ルイセの髪が風に揺れた。

「させるか!」

「付き合ってられないぜ!」

「負けられない理由があるんです。例えどんな手を使ってでも、負けられない理由があるんです!」

「我が力となりて、敵を切り裂け。トルネード!」

ルイセを中心として、コロシアムの中に竜巻が発生した。
荒れ狂う風が試合場の砂を巻き込み、ニックをシールを、そしてカーマインをも巻き込んで上空へと吹き飛ばした。
さすがに観客席までもを巻き込むような事はなかったが、竜巻の影響が無いわけでもなく歓声がいつしか悲鳴へと変わっていった。
だがその竜巻も永遠に続くというわけではなかった。
やがてルイセの魔力の影響が薄れるにつれ、暴風の勢いが収まることには空から三つの人が落ちた。
ピクリとも動かないカーマインに、ルイセが走りよる。

「カーマインお兄ちゃん! 起きてよ、目を開けて!」

「こ、これは前代未聞だ! なんとルイセ選手が味方もろとも相手選手をなぎ倒してしまった! ニック選手とシール選手は気を失った模様ですが、カーマイン選手はどうでしょうか? 以降の試合に影響しなければ良いのですが!」

「勝者、カーマインチーム!」

折角の審判の宣言であったが、カーマインを含め、観客席の中にも歓声を送る元気のあるものは殆どいなかった。

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