アムルとフレイがナジミの塔を攻略してから三日。 翌日にでも旅立っているのかと思いきや、彼らはまだアリアハンの自宅にいた。 それも自分達の部屋で、アムルはベッドに寝転がり、フレイは入れてきたお茶を飲んでたりと思い切りくつろぎながら。 だがそれは不本意というものであり、その証拠に寝転がっていたアムルがおき上げってあぐらをかくと、不満そうに言ってきた。 「姉ちゃん……いったい何時になったら旅立てるの。大体王様に会うだけでなんでそんなに期間が開くのさ?」 「あのねぇ、王様はアンタと違って暇じゃないのよ? それ以外にも旅に必要なマントや携帯食料に火打石。揃える物はいくらでもあるの……とは言っても、もう殆どやる事無いのよね」 フレイが見た部屋の隅には、最低限の荷物を詰め込まれた大き目の袋が置いてある。 旅立つ物に必要なのは、あとは国王への挨拶だけなのだ。 「王様に会えるのは二日後か……あ、そうだ!」 「なに? まだなにかやり残したことでもあるの?」 「ねえアム。王様に会うのも久しぶりだし、なんか劇的な旅立ちっぽく演出してみない? ほら、なんかうやうやしい言葉とかで」 それを聞いたアムルはベッドから降りると、右手を拳にして胸に当てた。 「こうかな?……陛下、人々が魔王に苦しめられている今こそ、このアムルが立ち上がり見事魔王の悪しき企みを打ち破ってごらんに入れます!っとか?」 そういうものを姉が望んでいたのか確かめるために視線をよこすが、フレイは目を丸くして固まっていた。 精一杯声を張った反動のせいか部屋の中が静寂に包まれる。 そして数秒後、フレイの噴出した声に静寂が消えた。 「あは、あーーーおかし、似合わなーい。陛下だってごらんにいれますだって、あの背で!」 「わ、笑うなよ姉ちゃん! 背は関係ないだろ。それに姉ちゃんが劇的って言うから捻って言ってみたんじゃん!」 「はいはーい、アムちゃんはまだ14ちゃいだもんねー。ボキャブラリーの限界……まずボキャブラリーがわからないかな〜?」 「ムッ」 「ほ〜ら、アムちゃんおいで。お姉ちゃんがクッキーをあげますからなぇ」 明らかに悪乗りして手招きしているフレイは、アムルの顔が真っ赤になっていることに気づいていない。 そこへさらに欲しくないのかなと言いながら立ちすくむアムルに近づいていく。 もう目前にまで近寄ると、アムルが急にフレイの懐深くに抱きついた。 一瞬甘えに来たのかと思ったフレイだが、それはアムルの作戦だった。 「ヒッ」 アムルの両腕がフレイの背中ではなくわき腹を掴み、くすぐり始めた。 「ちょ、タンマ。だめ……アーッ!」 「もう謝っても絶対許してあげないからね!」 「本当にダメだって、こら。ヒーーッヒ! くすぐるのヒャ、反則ォ!」 ついにはフレイが倒れこんでしまうが、それでもくすぐるのを止めないアムル。 フレイは何とか止めさせたいものの、アムルがしっかりと抱きついていて引き剥がせないでいる。 そのまま二人で部屋の中をあっちへゴロゴロ、こっちへゴロゴロと転がり続けていた。 いつまでこのくすぐり地獄が続くのかと思われたが、意外な形でそれは止まった。 荒々しく開く部屋の扉から、 「何を騒いでるの!」 母ライラの怒りと言う新たな地獄が入室してきたおかげで。 アムルもくすぐるのをピタリと止め、フレイともども寝転がったまま恐る恐る見上げた。 「全く、何をやっているのかと思えば……仲の良い事は良い事なんだけどね?」 呆れるライラの手からゴキゴキと似つかわしくない音が放たれる。 「何故そこで指を鳴らすのかしら?」 「母さん、あんまり指ならすと関節痛めるよ」 突っ込まれてもまだ、ライラは拳を手のひらで包んで鳴らし続けている。 ようやくその音がやんだかと思えば、強く息を吸い込んでから叫んだ。 「やる事がないのなら、短い間でも精一杯修行でもしてらっしゃーい!!」 「「はいッッッ!!」」 両手の拳を振り上げたライラに脅されて、アムルとフレイは飛び上がり、駆け出した。 そのままドタドタと先を競うようにして廊下へと飛び出して階段を下りていく。 「アムが悪いんだからね!」 「なんだよ、元はと言えば姉ちゃんが悪いんじゃんか!」 この期に及んで言い合いながら階段を下りていく二人。 「なんじゃ、お前達。そんなに急いで何処へ行く?」 「「修行ッ!」」 「ピーッ」 一階へと降りると、のんびりとお茶を飲んでいたダイダがおり、尋ねられるのと同時に跳ね返すようにして答える。 その内容を聞いてダイダと一緒にテーブルにいたキーラがアムルの頭に飛び乗った。 ついてくるらしい。 そのまま居間を突っ切り玄関を飛び出す予定であったが、玄関を開けた途端にアムルが誰かとぶつかった。 だが後ろに転んだのはアムルだけで、キーラは立ち止まったフレイの肩へと飛び移っている。 そして、ぶつかった長身のその人はよろめく事も無くそこにいて、転んだアムルを上から見下ろして呟いた。 「童か」 「わ、わっぱ?!」 「ぷっ、やっぱ子供に見えるんじゃん」 「子供ぉ!!」 アムルとぶつかったその長身の女性は、多くを語ることなくアムルを見て次にフレイを見た。 その視線は品定めと言うか、見たこと無い人を探しているかのようだ。 「これこれ、お前達。客人の前じゃぞ、しゃんとしなさい。それにしてもジパング人の客人は初めてじゃの。何の用じゃ?」 「私の名はレン。人を探してアリアハンに来た」 「姉ちゃん、ジパング人って?」 「ん〜、確かどっかの小さな島国だったと思うけど……鎖国だかなんだかで十分な情報はないのよ」 小さな島国と言ってしまってから本人の前だったと口を押さえるフレイだが、レンと名乗った女性は気にもしていないようだ。 白いゆったりとした上着に、朱のスカートだかズボンだか判断のつかない格好である。 腰に挿した反った剣から剣士のようで、長く艶やかな黒髪を無造作に頭の後ろで束ねている。 格好もさることながら、一番眼を惹くのはその身長、百八十近いかもしれない。 「して、探し人の名はなんと?」 「勇者、オルテガ」 探し人が父である事に驚くよりも、そう言ったレンが見せた瞳に宿った獰猛な光に息をのまされる。 どう見ても、それが友好的な光には見えなかった。 「と、父さんを探してどうするつもりだ!」 「貴様、オルテガの息子か……童には関係ない事だ」 ここがオルテガの家だと知っていて尋ねに来たのではないようで、少し驚いてからそっけなく言う。 「関係ないはずないでしょうが! 父さんを殺すつもり?!」 「運が悪ければな……やめておけ、お前達が動くより私が斬る方が速い」 そう言ったレンの手の中には、いつの間にか抜かれた剣があった。 飛び掛り、呪文を唱えようとしていたアムルとフレイの体が驚きによって止められる。 「嘘、何時のまに」 「見えなかった」 「ふむ……なるほどのぉ、下がっておれ二人とも。剣を抜くのさえ見えなかったお前達では無理じゃ」 でもと食い下がりたかった二人だが、ダイダの手の中に剣を見てさがった。 「レンとやら、オルテガが何処にいるかは誰にもわからん。じゃが、オルテガに剣を教えた者ならここにおる」 「貴様が? よかろう」 地面を踏みしめ歩く音が大きく耳に残るほど、場に緊張が張り詰めだした。 そもそもいきなり家にやってきて剣を交えるなど、正気の沙汰ではない。 家の前にある庭に出たダイダとレンが、一定の距離を保って向かい合う。 「ちょっと人を呼んだ方がいいんじゃない?」 「うん……でも、爺ちゃんなんか考えがあるんだと思う。爺ちゃん冗談じゃ剣ぬかないから」 「あらあら、また騒いでると思って降りてきたら大変な事になってるわね」 「って母さん暢気な事を!」 「大丈夫よ。多少の怪我なら私が治せるから。それより二人とも良く見ておいた方が良いわよ。勉強になるから」 妙にニコニコしている母から視線を戻すと、いまだ二人は向き合ったままだった。 別にアムル達が観客となるのを待っていたからではない。 「のおレンとやら。一つ賭けをせんか?」 「賭けだと?」 「そうじゃ、なあにお前さんにも悪い話じゃない。もしワシが勝ったら、数日後に旅立つ孫達について行ってやってくれ」 明らかに嫌そうな顔をしたフレイとアムルに気づいているのかいないのか。 一度二人を見てからダイダに視線を戻したレンがさらに暴言を吐いた。 「子守か?」 「だれぼぉ……んー、んーー!」 「アムル、ちょっと黙っていなさい」 先ほども童だとか散々な言葉を投げかけられたアムルが、我慢できずに飛び出そうとする。 そんなアムルを後ろから羽交い絞めしつつ、口を押さえ込んだのはライラであった。 ライラに持ち上げられたアムルは、地に足が届かずにしばらくジタバタしていたが、やがて諦めた。 「それで、私が勝ったらどうしてくれるのだ?」 「オルテガを探す為のヒントをやろう。闇雲に世界を武者修行しながら回るよりは早く会えるじゃろう」 「その条件飲んだ。勝負の合図は?」 「ライラ」 レンが乗ってきた事に喜びを隠しつつダイダが呼ぶと、ライラはアムルを降ろすとエプロンから一枚のコインを取り出した。 握った拳の親指にソレを乗せてから、キンっと高い音をたてて弾いた。 クルクルと回転しながら上昇するコインは、やがて重力にひかれ落ちていき……再び跳ねた。 その瞬間、レンとダイダが踏み込むのと同時に互いの剣が交わった。 ギリギリと音を立てならが押し合う。 「お前さん、なかなかやるのぉ」 「貴様こそ。私の打ち込みについてこれた者は久しぶりだ。思ったより楽しめそうだ」 「まだまだ、若いもんには負けんわい」 ぶつかり合ったときよりも高く耳に残る音をだして、剣が離れた。 「ならば受けきってみよ」 一旦お互いが距離をとると、レンが先に体勢を立て直し連続で打ち込んできた。 上から、下から、横にないでと恐ろしいまでに速く、自在な剣がダイダに放たれる。 だがダイダも元とは言え、騎士団団長。 歳に合わぬ動きを見せて必死に防いでいくのだが、それでも次第に息が上がっていく。 「ヒィ……コイツはちと苦しいわい」 「ならば諦めよ。先はああ言ったが、命をとるつもりは無い」 「そんなことわかっておる。ただ、孫の前で無様な姿は見せられんのじゃ」 全ての連撃をさばききると、肩で息をしながらダイダが反撃に出る。 だがもうスタミナが尽きてきているのか、突き出した剣先は下がり、踏み込む足にも力はなかった。 歳が見せる明らかな衰えに酷く残念そうな顔を見せてレンが言った。 「思ったよりも楽しめたが、コレで終わりだ」 突き出された剣を叩き落そうとレンが剣を叩きつけると、不自然なほどに軽くダイダの手から落ちた。 その事に驚いているレンの顔へと、ダイダの拳が迫る。 が、レンもレンで信じられない事に、額を前に出しインパクトの瞬間をずらして拳を受け止めた。 それでも多少はダメージがあったのか、ふらつくが剣だけはしっかりとダイダの首へと突きつけていた。 「どうやら私の勝ちのようだな」 予想外の抵抗が嬉しかったのかニヤリと笑っているが、ダイダを含めて、周りは青ざめている。 「と言うかお主大丈夫か?! 寸止めするつもりじゃったが、モロに入ったぞ!!」 「お爺ちゃん、女の人の顔殴るなんてなにやってんのよ!」 「爺ちゃん、見損なったぞ。女の人には優しくっていつも言ってたくせに!」 「いや、じゃから寸止めを」 「騒ぐな。闘いを求めていればコレぐらい、日常さ……は…………じ」 ものの見事にパタリと倒れた。 額を殴られたのだ、当然脳震盪である。 「やっぱりダメじゃん! アム、客室にベッドを用意して。お爺ちゃんは冷やす物を!」 「いや、ワシのせいじゃからしてここはワシが」 「お父さん、これ以上孫娘と娘に嫌われたく無かったら言う事を聞く事ね。暴力すけべ爺と呼ばれたくなかったら」 ダイダの肩を叩いたのは、青筋たてているライラである。 成り行きとはいえ、言ってしまえば女性への暴行だ。 しかも顔に、怒りもするだろう。 「じゃから寸止めを」 「爺ちゃん、諦めろ。俺、爺ちゃんがこれ以上犯罪者になる所見たくないよ」 「ピーピピギィ」 必死に違うと理解を求めたダイダであったが、アムルがポンッと肩に手を置いたことで諦めざるをえなかった。 キーラが何を言っているのかまではわからないまま、ダイダは肩を盛大に落としたまま冷たい水を井戸まで汲みに行った。 レンと名乗った女性は起きる様子も無く、客室に運ばれたままその額に冷たいタオルを置かれて眠っている。 フレイがその顔を覗き込んで少しタオルをめくるとやはり、額に赤みがさしていた。 やはり倒れた原因は脳震盪で間違いないのだろう。 「ねえ、お爺ちゃん。結局この人なんだったの? それにアタシこんなわけわかんない人と旅するの嫌よ」 「でも……すっごい強いよこの人。爺ちゃんに勝ったし」 「そうかしら、試合に勝って勝負に負けたって感じだけど」 確かに強かったが、脳震盪を起こしたせいか間が抜けている感じがするのである。 そもそも二人には、何故いきなりレンとダイダが勝負をしたのかがわかっていない。 オルテガを探すのも、ダイダと戦ったのも根底では同じ理由であろうと、ダイダは顎鬚に触りながら説明した。 「おそらく、武者修行という奴じゃろうな。風習なのかは知らんが、ジパングでは一人で世界を渡り強い者と闘い続ける者がおるらしい」 「だから父さんを探してたんだ。父さん、世界的な勇者だし」 「迷惑、すっごい迷惑。初対面でいきなり真剣勝負する意味がわからないわ。お爺ちゃんもそんな勝負けしかけて」 「まあのぉ……わしとて、理由がなければ受けんわい」 「「理由?」」 二人の孫の視線が集まると、咳払いをしてからダイダは話しだした。 「フレイは魔法使いとしてソコソコのレベルになっておる。問題はアムル、お前の非力さじゃ」 「非力……」 「何言ってるのよお爺ちゃん! アムはこの前だって立派に私のサポートを」 「そこがそもそおかしいんじゃ」 自らの両手を見て呟いたアムルを見て、フレイがかばうように言うがすぐさま斬って捨てられた。 ちょっと涙ぐんでいるアムルの頭に手を置いてからダイダは続けた。 「本来ならサポートは魔法使いの仕事じゃ。環境や精神状態に左右されすぎる魔法使いは主力にはあまり向かん。なのにアムルの腕力では決定打を打つ力が無い。並みの敵はまだしも、甲冑ほど硬い敵だと、足止めしかできん」 「でも俺、剣は……」 アムルはちらりとレンが持っていた剣に眼をやるが、すぐにそらしてしまう。 その姿をみたフレイもそうだったわねとため息をつく。 いくら決定打が欲しいと言っても、アムルに剣を持てといえるはずも無い。 「つまり、決定打となる戦力が欲しかったわけね」 「そういう事じゃ。あのレンとか言う娘、歳はしらんがなかなかの使い手じゃ。そうそう見つからん」 「褒めるのは勝手だが、私は子守などするつもりはないぞ」 そう言ったのは、何時の間に眼を覚ましたのかレンだった。 いつから目が覚めていたかは不明だが、口ぶりからかなり前から意識はあったのだろう。 まだふらつくのか、額を押さえながらベッドから起き上がる。 「口の減らない奴ね。まだ寝てたほうがいいんじゃない?」 「余計なお世話だ。世話になった事には礼を言うが、さっさとオルテガを探すヒントをくれ。私はもう行く」 「ヒントとな?」 「とぼけるな、賭けと言い出したのは貴様の方だろうが!」 ダイダに掴みかかろうとする程につめよるレンだが、ダイダはまだとぼけている。 「そういえば、父さんの居所のヒントって俺たちにも教えてくれるんだよね?」 「なんじゃ、アムルは気づいておらんのか」 「あのねぇ、アム。そのヒントは私たち自身よ。私たちの旅についてくれば自然と父さんに会える」 「へっ?」 一体何の事だかわからないといった顔をアムルがしているが、レンは盛大に声を荒げた。 「ちょっと待て! それでは勝っても負けても同じではないか!」 「まあのぉ、じゃがヒントとは本当の事じゃよ。全くの他人よりは、親族が行方を聞いたほうが人は親身になって答える。時には誰にも言わなかった事も……一人で探すよりよっぽど有力な話が転がりこむじゃろうて」 「どちらにせよ、勝ったのか負けたのか有耶無耶じゃない。剣を突きつけておいて昏倒してるし……実戦ならお爺ちゃんの勝ち」 「くっ……とにかくやり方が気に食わん! 時間が掛かっても一人で探す!」 レンはベッドに立てかけてあった剣を手に取ると、床が抜けるのではと思うほどに足を慣らしてドアへと向かう。 そのまま出て行ければ良かったのだが、タイミング悪くお盆にスープを載せたライラがやってきてしまう。 「あら、もう帰っちゃうの? 折角元気がでるスープを作ったのに」 「ふん」 やけに残念そうな顔をされては飲まずには出て行けなかったのか、熱そうなスープを一気飲みするレン。 真っ赤になりながらも飲みきり、お盆に載せ返すと、気味が悪いほどにライラが笑っていた。 そして両手で持ったお盆から片手を離し、手のひらを上にしてレンに差し出した。 「ご休憩と、特性スープで百ゴールドになります」 元僧侶とは思えないほど、小憎らしい笑顔で言い切った。 そもそも休憩する原因を作ったのがダイダだとは思えないほどに。 「だ、誰が払うかー!!」 「そうよね。見知らぬ子供達の旅に付き合うよりは、一人旅で見知らぬ大人達に付け狙われる方がいいわよね」 両手で顔を覆って、一見泣いているようだが暗に食い逃げでお尋ね者になるぞと脅しているだけだ。 「知らない母さんがあそこにいる」 「母さんって結構手段を選ばないタイプだったのね」 「まあ……子供のためになるならば、かのぉ」 さすがにその陰険振りにはアムルもフレイも引いている。 おかげで本当にやるかもしれないとレンが折れるのに、時間は掛からなかった。 「わかった。行けば良いのであろう、行けば! ただし、オルテガに会ったあかつきには多少の怪我は覚悟しておけ!」 「ありがとう、レンさん。この子達をよろしくお願いしますね」 泣き真似から一転、レンの両手をにぎるライラにレンは青筋を立てまくっていた。
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