幻想水滸伝T

第二十五話 早撃たれの宿星

「熱ぃ!」
「熱湯は卑怯だぞ!」
フェイに熱湯をかけられ悶えているのはハジャで、実際に文句を言っているのはシーナ。
彼らが風呂で何を騒いでいるかと言うと、歳も考えず水鉄砲で遊んでいるのだ。
「わかった、わかった」
そう言うと、水鉄砲のタンクをスライドさせ水圧を上げていく。
ジュッポに作ってもらったこの水鉄砲は、使うものしだいで限りなく水圧が上げられ、威力が上がる仕組みである。
「あ、裏切る気か!」
「俺はまだ若いんだ。大人しく盾になれ!」
いつまでも水圧を上げつづけるフェイに恐怖を感じ、ハジャを後ろから羽交い絞めにするシーナ。
そんな醜い争いをしている二人を見てニヤリとすると、銃口を向ける引き金を引いた。
発射された水は凶器となり二人を襲ったが、狙いは外れ二人の後ろの壁に穴を空けた。
「ふっ・・・」
いつの間に居たのか、湯船につかっていたクライブが狙いを外したフェイを鼻で笑う。
それに反応しないわけが無いフェイは、水鉄砲をクライブの顔の前に持ってくると最小出力で放った。
もう一度ふっと笑い水をぬぐったクライブは、風呂のなかにまで持ってきていたシュトルムをかまえ、引き金を引いた。



「なんか・・・男湯が騒がしいわね」
その頃女湯にいたメグは、男湯の騒ぎ声に顔をしかめていた。
「シーナ君が、ジュッポさんに水鉄砲作って貰ったとか言ってたわよ」
「フェイ様も、そのようなことおっしゃってました」
アップルとカスミがそう言ってきたので、大体どんなことになっているのか想像できてしまう。
とりあえず後で、ジュッポにどんなものか見せてもらおうと思ったメグだった。



「遠慮はするな二人とも、相手は本物なんだ!」
男場では戦況が著しく変わっていた。
はじめはフェイ対シーナとハジャだったのが、先ほど参戦したクライブによりクライブ対フェイ、シーナ、ハジャとなっていた。
ちなみにさきほどクライブが持っていたのは、シュトルムをモデルにした水鉄砲。
後日のクライブ曰く、ジュッポに作ってもらったそうだ。
「・・・甘いな」
三人の水を鮮やかにかわすと、反撃する。
威力は低いのだが確実に当ててくるクライブに対し、当たらないくせに無駄に威力を上げている三人。
おかげで風呂の壁の所々に、穴があきまくっている。
だが、そんな四人の攻防も、たった一人の乱入者に終止符をうたれることになった。
「何やってんだお前ら!!」
風呂場に入ってきたのはサンスケで、風呂場の惨状を見ると大激怒し四人を外へ放り出した。
後日四人は、サンスケに呼び出され、風呂場の修理そして1ヵ月の間風呂掃除の罰をうけることになった。