Get Two

第六球:共通の敵は隣人

 

毎度学校の制度には不思議な点があるのだが

なんで4限目に体育をする

そんなに生徒に精神修行をさせたいのか

5限はそれはそれで横っ腹が痛くなるのだが・・不思議だ

 

「あ〜くそ!腹減った」

 

「はーちゃんさっきからそればっかだね」

 

思ったことを口にしてるだけだ、それも飯を食うまでだがな

たとえそれが自分でこしらえた弁当であっても

あまつさえ同じ物を琥珀の奴に作ってやっていても

この扉の向こうには弁当(自作)が!

 

ガラリ

 

「よっ鋼・・なかなかうまかったぞ」

 

キャプテン・・なんで人のクラスにってか学年すら違うし

しかもそのキャプテンが持ってる弁当箱は

 

「栄養配分もいいが好きなもん食ったほうがいいぞ、肉とか」

 

それはお前が食いたいものだろうが!

貴様人様の弁当を食うとはそれなりの覚悟をしているのだろうな!

 

「馬鹿もいいけどあたしのお弁当は?」

 

む、そういえば琥珀の弁当は何時も俺が持ってるんだっけ

キャプテンが食ったのは赤、青どっちの包みだ?

 

「あーそれで二つもあったのかてっきり鋼は大食いかと」

 

もう良い・・貴様は喋るな

双子を敵に回す恐ろしさをたっぷりと体に刻み込んでやる!

 

「機嫌が悪いみたいだ・・ここはおいとましよう」

 

あ!こらちょっと待てベランダから隣のクラスに回り込む気か!!

 

「琥珀!」

 

「わかってる」

 

俺の声で琥珀が隣のクラスへ先回りする、これで取り逃がす心配もあるまい

俺も続いてベランダに出ると・・そこには琥珀一人、奴は何処だ!

 

「鋼あそこ雨どい」

 

いた!あのやろう雨どいを伝って3階から1階まで降り

 

ゴイン

 

キャプテンが落ちた・・二階あたりから

琥珀が投げた椅子を喰らって、動かないけど生きてはいるよな

確かに敵に回すと恐ろしい、琥珀

 

 

 

急いでキャプテンの落下地点までおりるがすでにそこにはいなかった

 

「探している時間は無いわ、先に食糧確保よ」

 

一旦キャプテンへの制裁は後回しにして売店へ直行だ

あくまで後回しであって逃げた分威力は倍以上だ

 

 

 

「おばちゃんパン余ってる?」

 

「あら〜惜しかったわねあんた達、さっき野球部のキャプテンがあるだけのパン買っていっちゃったのよ」

 

「あるだけ・・香ちゃんならやりかねないわ」

 

たかが二階から落とされただけで心の狭い奴め

それより学校内で食料の調達ができないとなると・・外のコンビニか

一応外に出るのは違反だが律儀にまもってる奴もいない、先生に見つかればなんか言われるけどな

 

 

 

「まったく、キャプテンのせいでめんどくせえな」

 

「二度と外歩けないほど制裁してやるわ」

 

まあ今回は琥珀がこっち側だし俺が動かなくても良いかな

先生にだけは見つからないようにすばやく裏門から出

 

「コラ!そこの一年黒木鋼に琥珀外に出るのは違反だ戻りなさい!」

 

見つかった!ってキャプテン!!

スピーカーでわざわざ渡り廊下から本名暴露してんじゃねえよ

 

「天誅―!!」

 

キャプテンのいる渡り廊下まで力の限り石を投げる

ぬぉ!かわしやが

 

メコリ

 

キャプテンの顔面がへこんだ・・琥珀が投げたらしき石で

かわすこ軌道をよんで投げるとは、ニュータイプか琥珀は

 

「まったく、これで全ての道が閉ざされちゃったじゃないの」

 

「無いわけじゃないんだが・・」

 

これだけは避けたい、俺にも良心ってものがある

紫暮さんにたかるのだけは・・

 

「それじゃあ恭子ちゃんにたかりにいくわよ」

 

ちょっと待て!

ひさびさに俺の考え詠んだだろ

さっき全ての道がって言ってただろ

 

「思いついただけよ」

 

背向けてんじゃねえ、俺の目みて今の台詞言ってみろ

 

オモイツイタダケ

 

動揺しまくりじゃねえか!

 

 

 

嗚呼・・結局琥珀について来てる自分が悲しい

 

「ほら行くわよ、お弁当はこの扉の向こうよ」

 

「後ろめてえ」

 

「何言ってるの!教師は生徒の為にいるのよ、教師に頼ることは決して恥かしいことじゃないの!」

 

言ってることは解る、正しいように聞こえるけど

俺らがこれからやることは絶対ソレには当てはならないはずだ

 

「あっれ〜、お弁当がない」

 

突如扉越しに聞こえてくる紫暮さんの声・・嫌な予感が

 

「さっき灰谷のやつが頼まれたとか言って持っていきましたよ紫暮先生」

 

あんの馬鹿キャプテンがぁ〜!!

袋だ袋!米俵に詰め込んでサッカー部に1キロ30円で売り飛ばしてやる

奴は何処だ!渡り廊下から職員室を通ったとなると・・次は保健室のほうか

 

「ほら行くわよ鋼、あっちから悪の気配がするわ」

 

うむ、琥珀も同じ意見らしい敵は保健室の近くだ

 

 

 

何処だ!何処にいる!!

こういう時にこそお前のニュータイプ能力を使わんかい琥珀

 

「は〜が〜ね〜」

 

お?なんだなんで俺の襟首掴んでますか?

首が絞まっていい感じに苦しいぞ

 

「ミサーイル!!」

 

琥珀になぜか廊下にあった掃除道具入れ目掛けて投げられた

 

「ノオォ―!!」

 

ガァン!ドスン

「ぬぉ」

 

俺がぶつかって倒れた道具入れから聞き覚えのある声・・

投げつけられたことは忘れはしないが琥珀と顔を見合わせ互いにニヤリと歪んだ笑みを浮かべる

 

「くそぉ、キャプテンの奴何処言ったんだ!」

 

いらいらした声を出しガツンと道具入れを蹴る   「はぅ」

 

「香ちゃん、今出てこれば許してあげるのに」

 

そう言った琥珀も道具入れを連続で蹴りつづける  「あぅ、ぬぃ、暗いよ〜狭いよ〜うるさいよ〜」

 

もう1時間は道具入れを蹴りつづけたいところだが時間もないので蹴るのを止める

一応道具入れが原型とどめていないぐらいは蹴ったけどな

 

「さぁ〜て、どうして人様の弁当を食ったのかいいわけを聞こうか」

 

「納得いくわけないけどいっても極刑よね」

 

キャプテンを縛り上げ重石を抱かせるもちろん正座で

 

「それはな、むか」

 

「昔々なんてギャグ言ったら私の拳が砕けるまで殴りつづけるわよ」

 

あ・・目が泳いだ

言うつもりだったなこの野郎、とりあえず重石の上に足を置き体重をかける

 

「ぬおぉぉぉ!痛いではないか鋼、弁護士を呼べえ」

 

うんうん、良く食べたから眠くなってるんだろうな

寝言をほざいたキャプテンには笑ってない笑顔の俺と琥珀から業火な鉄拳を1年分贈呈した

 

 

 

「まったく、あんたらも手加減ってモノをしらないねぇ」

 

手加減してたらこっちの心が持ちませんよ春奈さん

キャプテンに鉄拳をしこたま叩き込んでたら保健室から春奈さんがでてきた、キャプテンはベッドで気絶中だ

事情を説明したら出前を取ってくれた、マジありがたいよ

 

「ん〜、授業は遅刻になっちゃうけどまあいっかな〜」

 

まあ普通学校でラーメン食うなんてないからな

たまにはこんなのもいいかもしれん

さっさと食って授業に行くかな

 

「いやぁ〜学校で出前のラーメンってのもおつだねぇ〜」

 

なんでお前が食っとるんじゃー!!

お前さっき気絶してただろ!その前にも俺のやら紫暮さんの弁当食っただろうが!!

 

「なんだなんだ、ラーメンぐらいで心の狭い奴だ」

 

「このバカタレがぁーーーー!!」

 

ここから先は記憶が曖昧でよく覚えてないのだが春菜さん談

 

「人間をあそこまで折り曲げるパンチははじめてみた」

 

そのせいかは知らんがキャプテンは3日飯が食えなかったらしい

知ったことかそんなもん